旅先でiPhoneをなくすと旅が色濃くなるよという話。in 深セン

昨日から、中学校を卒業した息子がイギリスのボーディングスクールに入るために学校見学やら入試やらで渡英しています。

で、今朝、打ちし枯れた声で連絡がありました。

息子

iPhoneなくした・・・電車で置き引きにあったみたい・・・

まぁ、ありますよね!
飛行機に十数時間、電車で3.5時間移動していたら疲れてきて注意力が散漫になっても仕方ありません。

旅先でスマホをなくしたことを責めては絶対にいけません!!

なぜなら・・・・

私も経験あるから・・・

いや、でも誰かが言ってました。

「旅はスマホをなくしたところからスタートする」
「スマホをなくすと旅が色濃くなる」



はい、言っていたのは私です。
5年前に深センへの旅行中にスマホをなくした私が家族に一生懸命話してました?

いや、でも本当に旅が色濃くなるんですよ!
5年前の話なのに今でも鮮明に覚えてますし、中国の方と触れ合うことができて本当にいい経験でした。

というわけで、今回は息子の「iPhoneなくして、ここからが旅のスタート記念」に私の体験を投稿したいと思います(笑)

2012年7月に深センに行ったことは以前、記事にしました。

あなたの旅を何倍も楽しくしてくれる「CouchSurfing」in 深セン

ちょっとダブル内容ではありますが、振り返ってみたいと思います。

深センにただ行くだけではおもしろくないから、ソファーだったらタダで泊めてあげるよという「カウチサーフィン」というサービスを利用し、現地の人のところに泊めてもらうことにしたのでした。
初日に泊めてくれたのがこちらのOuさん。

ワンピースのTシャツを着た王さん

待ち合わせの場所で、まず目に飛び込んできたのは、おろしたてのONE PIECEのTシャツ。
これだけで、歓迎してくれていることが分かり、とても嬉しい気持ちになったのを覚えています。

まずは、地元のレストランで夕食をすることに。
泊めてもらう御礼に食事をご馳走するつもりが、”いつもこういうときは自分がご馳走するんだ”と反対にご馳走されてしまいました。
その後、Ouさんの自宅へ行き、Ouさんの彼女も交えて談笑。
Ouさんは部屋があまっているとのことで、一部屋ベッド付きで提供してくれました。

会話の中で「テンセントという会社に興味を持っているんだ」ということを話すと、「自分は昨年までテンセントで働いていたよ。知り合いがまだいるから連れて行ってあげると」とまさかの展開に。

そんなこんなで居たせり着くせりの持て成しを受けて1日目が終了。
そして、2日目のカウチサーフィンのホストHelenと夕方に合流。

二日目のホストのヘレンさん

たらふく美味しい料理を食べて、また、たどたどしい私たちの英語にも関わらずとても楽しい時間だったことを覚えています。

泊めてもらうHelenの家に向かうタクシーの中で事件は起きました。
タクシーから降りて、彼女の家に向かう途中でポケットに入れていたiPhone がなくなっていることに気が付きます。
なんとタクシーに落として来てしまったのです。

タクシーに電話しようにもレシートをもらっていない。
初の海外でのポカに頭の中は真っ白に。

打ちし枯れる私にHelenはやさしい言葉をいくつもかけてくれたのを覚えています。
そして、翌朝には「私は今から仕事に行くけど好きに部屋を使ってくれていていいよ」と鍵まで渡してくれたのでした。

知り合いに「深センで落とし物をしても絶対に出てこない」と言われていたのですが、初日のOuさん、二日目のHelenにここまでよくしてもらうと、「こんないい人がいてる深センなんだから絶対出てくるはずだ!」と思い、3日目は特に予定を入れていないこともあり、iPhoneをとことん探してやろうと決めたのでした。

まず、Helenに中国語で事情を紙に書いてもらい、朝一で近くの警察へ。
入り口に門番が立っているような大きな警察です。
そこの門番にHelenに書いてもらった紙を見せます。
すると、「違う!違う!」みたいなことを言われて、近くに止まっていたタクシーに放り込まれます。
門番の人がタクシーの運転手に何か話していると、タクシーはどこかに向かって走り出します。
運転手が何か話してますが、何を言っているのかちんぷんかんぷん。
一体どこに連れて行かれるんだと不安を感じながら、数分走って到着したのは小さな交番みたいなところ。

どうも管轄が違ったようで、管轄の交番に連れてきてくれたようです。
中の警察官に紙を見せますが、中国語しか話せず、何を言っているか分かりません。
そこで、初日にお世話になったOuさんに電話をして、通訳をしてもらったところ、どうもここも管轄じゃないので、別の警察に行けと言っているとのこと。

新しい警察の名前を紙に書いてもらい、再び別のタクシーを捕まえ出発です。
少し大きめの警察に無事到着し、さっそく紙を見せます。

「あぁん」と紙をつかみ、一通り読むと後ろにまわします。そして、またそれを読んだ人は後ろに。
そして、放置。
15分ほど放置され、これだから中国人は….
と思っていたときに、後ろから、英語で話しかけられます。
そうなんです。実は放置されていたのではなく、英語ができるホテルマンを呼んでくれていたのでした。
そして、警察官は下記ような紙をホテルマンに渡して、ここに行くように伝えろと言っています。

「委員会!」
なんか、中国で委員会と聞くと怖くないですか?
いったいどこに連れて行かれるんだと、ホテルマンに聞いてみると、どうもGPSセンターのようです。
ここに行くともしかしたら分かるかもしれないとのこと!
そして、再度タクシーに乗り込み何とか委員会に向かいます。
到着したのはこのようなところ。

私と同様に携帯電話をなくした人がたくさん来ていました。
Ouさんに書いてもらった紙を見せると「あぁん」と言われ、一読すると返されて、向こうで待ってろみたいな仕草をされます。
しばらく待っていると順番が回ってきたようで、対応をしてくれました。

中国語しか話せない人だったのですが、翻訳ソフトを使い、とても丁寧に応対をしてくれました。
このとき私は中国人の「あぁん」は嫌味な言い方ではなく、彼らの普通の返答の言葉だと知るのでした。

このGPSセンターで、タクシーに乗った時間と場所、降りた時間と場所を伝えると、なんと乗ったタクシーを割り出してくれたのです!
そして、そのタクシー会社に電話をしてくれました。
タクシーの運転手は仕事に出ており、帰ってくるまで待ってほしいとのこと。
しかし、このときすでに夕方になっており、私は夜の便で帰国しなければなりませんでした。

そこで、Helenに電話をして、代わりに連絡を受けてもらうことに。
かすかな期待をいただきつつ、空港で待っているとHelenから電話が!

タクシーの運転手は捕まったのですが、運転手が言うには、その後にすぐに別の客が乗ったので、その客が持っていったのではとのことでした。
結果としては、iPhoneは出てこなかったのですが、そのおかげで、深センの多くの人の親切さにふれることができ、また、5年たっても鮮明に覚えているほどの思い出になったのです。
今思うと、言葉が通じないところでよくここまで行動したなと思うのですが、それもOuさんやHelenの人柄に触れたからこそだと思います。

そんなわけで、息子よ。
トラブルも含めて旅を思う存分楽しんできてくれ!


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